プラスチック黄ばみ取り用UVボックスの制作

はじめに

こんにちは。下野です。

せっかくの技術ブログなので、プログラミング以外の日頃気になっている実験や工作に取り組んでみます。

ある日、ふと気になったのはプラスチックが経年劣化した時の黄ばみでした。

なぜ黄ばみが発生するのか?それを防ぐ事はできるのだろうか?

今回はこの黄ばみ発生の原因と、黄ばみを解消の環境として、UVボックスを制作してみました。

※ 注意

ここで取り扱っている溶液や電気配線などは十分な知識と経験が必要です。

事故やケガの元になるので、もし参考にされる方は十分な下調べを行ってください。

プラスチックの黄ばみの仕組み

調べてみると、プラスチックの黄ばみは複数の理由がありました。

プラスチックの多くはABS樹脂が利用されていて、これが経年劣化すると変色して黄色くなります。

  • ABS樹脂の添加物が、収納している段ボールの接着剤などの化学物質から影響を受けることで変色する
  • ABS樹脂に含まれる臭素が経年変化、分解して変色する。

今回は、ABS樹脂に含まれる臭素による黄ばみを対象にしています。
主に臭素による黄ばみを取るためには、以下の手順を行います。

・過酸化水素水を含んだ溶液にプラスチックを浸す。
・紫外線を当てる。
・すると、プラスチック内の臭素化合物と水素が結合して脱色され黄ばみが取れる。

簡単に言うと、過酸化水素溶液にプラスチックを浸して、太陽などの紫外線に当てればよいということになります。
しかし一口に太陽光と言っても、太陽が出て紫外線が強い状態で、2-3日当てなければなりません。もちろん夜間はムリですし、雨が降ったりすると紫外線の量が減ってしまい、なかなか安定して紫外線を当てるのは難しいです。

UVボックス

もっと手軽に紫外線照射の環境ができないかと考えて、定常的に紫外線を照射できるUVボックスを用意することにしました。

UVボックス構造
  • 今回は段ボールによる箱を使用します。おりたたみが出来るのと、紫外線が段ボールを通しにくいためです。
  • 段ボールの箱の内側にアルミテープを貼って反射できるようにします。
  • 内部に、UVLEDを配置して紫外線をいろんな角度から当てることができるようにします。

制作

1. ダンボール箱の内側にアルミテープを貼ります。

2. UV LEDを配置して箱の内部に隙間なく配置します。

UV LEDはそのまま配置しても良いですし、途中で切って配置するのもよいですが、
断線しやすいので切らずに配置する方が簡単です。

※ 配置の際に半田配線などを行う時は、火傷や火事などに十分な注意が必要です。

実地テスト

ちょうど黄ばんだプラスチックとして、コネクタのケースが黄ばんでいたのでこちらをテストで使用します。

・プラスチックを洗って、溶液が保持できるようにキッチンペーパーでくるみます。
・更に蒸発防止にラップでくるみながら、過酸化水素溶液(6%)の溶液をまんべんなく塗ります。
・漏れないように更にラップでくるみます。

過酸化水素溶液は、一般に購入できるものは濃度 3~5%。

濃度が高いほど効果が期待できますが、一般販売されているものは6%が上限です。

※ 過酸化水素の溶液は、誤飲したり目に入ったりすると大変危険です。

また衣服に付いた場合は変色する場合もあるので注意が必要です。

風通しの良い場所で換気に注意して行う必要があります。

過酸化水素の溶液

UVボックス内に入れて、24時間程度紫外線を当てます。

ものによっては途中で仕上がりを確認して、照射時間の調整や塗り方を調整する必要があります。
その後水洗いして、出来上がりです。

元がそれなりに黄ばんでいたのですが、結構白くなりました。

何度も繰り返すと黄ばみは取れていきますが、完全に戻すのは難しいです。

また、プラスチックの強度が下がることにもなるので、ある程度取れれば良いかと考えています。

まとめ

UVボックスを使って、以前よりも安定して検証できるようになりました。
今回は黄ばみを取る事ができましたが、プラスチックによっては黄ばみが取れなかったり、
逆にまだらになる事もあります。

一度まだらになると取ずらくなるので、繰り返しテストしたり、一部分だけテストするパッチテストを行ったりする必要があります。

ここで紹介している内容はあくまでも参考にして頂ければと思います。

過酸化水素溶液や配線なども十分に注意して扱う必要があります。
もし実践の際にはよく調べて、取組に関しては自己責任にてお願いします。

それでは、良い紫外線ライフを!